とっても小さなアンプ内蔵スピーカー。
2010年代中頃、まだスマホにイヤホンジャックがついていた頃。
Bluetoothの認知も上がってきてはいるけど、まだイヤホンジャックがついているので、無線化の必然も薄く、まだまだこれからという頃。スマホに直挿しで使うアクティブスピーカー(アンプ内蔵スピーカー)が市場にはそれなりにありました。そんなとき、たまたまリリースしたカラフルな小型の直挿しアクティブスピーカーが期待や予想に反して、ずいぶん売れました。当時のiPhoneのスピーカーで聴くより「8倍でか音」を謳うそれが確か2000円しないくらい。音も大きくなるし、それなりに聴ける音質だったこと、カラフル豊富なカラバリがしっかりウケました。そんなに安価でそこそこの音質のものの評判が良いなら、もっとバリエーションを出してもいいんじゃない?ということで2つの企画を立ち上げました。ベースの製品がカジュアルなものだったので、もっとキラキラゴージャスが好きなお客さんに向けたものと、もっとカワイイにこだわったもの、の2つ。今(2025年現在)では「女子向け」とか言うのは憚られる部分もありますが、当時のスマホアクセサリは分かりやすく「女子向け」を謳う製品も多く、会社としても成功体験を持っていました。
企画の方向性はすんなり決まりました。中身はベースとなるものと同じなので、筐体のみの開発でした。コストも限られているので、特段珍しいことはできません。キラキラゴージャスの方は、スピーカーグリルの穴の開け方をグラフィカルにすること、筐体自体をミラーボールのような多面体にしパール系の塗装をすること、を提案しました。小物をラインストーンでデコるような人も多かったので、割と積極的にキラキラ感が出るように工夫したように記憶しています。オーディオ製品への愛情は当時も深かったので、音質的にネガティブにならないよう、開口率をしっかり確保できるように、且つビジュアル的にも効果があるようにグリルの穴形状は考えてモデリングをしました。
もうひとつはアニマルモチーフでシリコン製アニマルフェイスをかぶせるアイデアでした。そちらはまた別の項で。
いずれも野暮ったさのある、ある意味、デザイナーが好まないようなデザインだと思いますが、良くも悪くもお客さんと売り上げだけを考える商売としてのデザインをおおいに学んで取り組んでいたときの良い思い出です。